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Meister Interview 吉原 義人(Yoshihara Yoshindo )

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刀鍛冶/日本刀鍛錬道場代表 吉原 義人

刀鍛冶/日本刀鍛錬道場代表
吉原 義人

  • 吉原義人プロフィール
  • ダイジェスト版(読了時間5分)
  • 記事全文(読了時間15分)

■まえがき


どんな世界でも超一流と呼ばれる卓越したプロフェッショナルがいる。

「一流」という言葉を辞書で引くと、「その分野での第一等の地位。」と出てくるが、刀剣業界における吉原義人師匠は、まさに「超」がつく一流である。刀鍛冶として、さまざまな賞歴を持つほか、最高勲章である20年に一度の「伊勢神宮の御神刀」に、実に3度の指名を受けている。刀だけで生活が出来る刀鍛冶は日本国内に30人程度と言われる刀剣業界の厳しい状況下で、現在でも6人の弟子を育てながら着実に収益をあげ、積極的な海外展開や出版活動を行うなど、日本刀文化の普及にも努めている。日本刀一本にこだわり続け、頂点を極めた吉原師匠から、次代の若者に向けたメッセージは、「好きな道、興味や誇りが持てる道を選ぶこと」、そして「自ら選んだ道を一生懸命に続けること」と、吉原師匠自身が刀鍛冶人生の中で実践してきた、明確且つ、仕事に対する姿勢や意義を問われる内容だった。
今回のインタビューの中では、国際競争力と共に失いつつある、日本人の誇りや強さを取り戻すための「ヒント」も多分に含まれていた。指導する立場にある方、指導を受ける立場にある方、それぞれの視線で、この人物の声に耳を傾けてほしい。

■刀鍛冶:吉原義人(よしはらよしんど)へのインタビュー


Q:刀鍛冶の仕事とは?

一言で言うと日本刀を作る職人だね(笑)。
包丁を作る人は包丁鍛冶、鋏(はさみ)を作る人は鋏鍛冶、他にものみ鍛冶とか、鉋(かんな)鍛冶とか、いろんな鍛冶屋がいて、それぞれほとんどが専門で作っている。その中でも日本刀を専門に作る職人が刀鍛冶だ。

Q:1人前の刀鍛冶になるための課題は?

具体的な課題はない。とにかく目で見て体で覚える。
だいたい、日本刀として形になる作品が創れるまで15年って言われているけど、それは人それぞれ。
刀鍛冶に入ってから最初にやらされることは炭を切ることからで、「炭きり3年」って言葉を聞いたことないか?
日本刀の鍛錬に使う松の炭を、鉄や鋼に火が回りやすいように、細かく使いやすい大きさに切る仕事だ。その「炭切り」をやりながら、親方や兄弟子が仕事をしているのをとにかく見て、そのうち手伝わせてもらえるようになって、少しずつ覚えていく。最初からは、なかなか叩かせてもらえないんだよ。

2年ほど「炭きり」をやると、「先手」っていうのをやらせてもらえる。親方が鉄を赤くして、金敷きって台の上に置く。それを指示に従って、呼吸を合わせて、親方が鉄を伸ばしたり、ひん曲げたりしているところを、相方として叩くんだよ。後はとにかく毎日毎日、目で見て体で覚えるのみだ。具体的な課題なんていうのはないんだよ。

Q:日本刀の価値はどこで決まるか?

大事なのは全体のバランス。いつも納得がいくまで鍛錬することが重要
日本刀の価値を決める要素はたくさんあって、どれか一つじゃダメなんだよ。まずは素材の選び方。「地金」っていうんだけど、刀鍛冶は材料である「鋼」を作るところから、鍛錬、仕上げまでほとんど全部の工程を自分でやるからね。「地金」がよくて、鍛錬の仕方がよくて、「形」がよくて、それにあったいい形の波紋が入っていて、日本刀として全体のバランスが取れているのが「いい刀」だ。いつも納得がいくまで鍛錬することが重要だね。
作刀は、自分が納得するまで鍛錬したものでないと、完成させることは出来ないんだよ。
なかには「これでいいか」とか、「今回は少しよくできたかな?」とかで、納得しちゃう人がいるかもしれないけど、俺はいつも納得するまで鍛錬する。まあ、出来上がりがいつも必ず一緒かって聞かれると、人がやる仕事だから、多少は違ってくるだろうけど、そういうのがまた面白いんだな。

Q:“ものづくり”の機械化について

日本刀は芸術品。機械で作れる芸術品はない。
刀剣業界は基本、みんな「手作り」だから、完全に機械化っていうのは、おそらく今後もできない。
一部のことは機械化している鍛冶さんもいるんだけど、やっぱり基本的には手でやらなくちゃね。特に日本刀を創るってことは、芸術品をつくるわけだから、やっぱり「手作り」を基本として残さなきゃならないよな。芸術品を機械で作るってイメージは出来ないだろ?