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Meister Interview 吉原 義人(Yoshihara Yoshindo )

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刀鍛冶/日本刀鍛錬道場代表 吉原 義人

刀鍛冶/日本刀鍛錬道場代表
吉原 義人

  • 吉原義人プロフィール
  • ダイジェスト版(読了時間5分)
  • 記事全文(読了時間15分)

海外での展開について


きっかけはファンからの要請。
初めの仕事は大学構内での実演

アメリカやヨーロッパには、日本刀好きな人がたくさんいる。海外展開したきっかけは、昔ロサンゼルスで、アメリカの「日本刀愛好家」が集まる会があって、ニューヨークや、テキサス、他にもシアトルやサンフランシスコ、いろんなところから、200人くらい集まって、俺も日本刀を少しでも広めようって考えていた時に、「ぜひ、アメリカで刀を創って見せてくれ!」っていう機会があってね、1970年代の前半に俺自身がアメリカに行って、実演したんだよ。1ヶ月間、テキサス州のダラスにある大学の構内でね、愛好家たちが大学の許可をとって仕事場を創ってさ、そこで日本刀作りから、研ぎまで、全部できるように職人を連れていったってわけだ。
メトロポリタン美術館や、ボストン美術館に展示されているのは、そこで作ったものを是非!っていうから、買い上げてもらったんだよ。別に注文されて作ったわけでもないんだけど、えらく気に入れられてね。(笑)。
海外でも日本でも、日本刀を買いたいって人は、昔からの日本の文化や武士道等に魅かれている人が多いんだな。特に日本刀に対して強い憧れがあって、自宅に一振り置いときたいとかさ・・・。

アメリカやヨーロッパではそういう人が多いんだ。お客さんの数は日本と海外と半々ぐらいだけど、最近では海外の方が少し多いぐらいだね。サンフランシスコとシアトルにある鍛錬所は夏でも涼しくて、仕事がしやすいこともあって、今では夏場の7月~8月はこっちの鍛錬所を閉めて、向こうで仕事をするんだよ。
海外から注文があったものを、こっちで創って納品することが多いけど、向こうで注文を受けて創るってこともある。
でも、材料は、やっぱり日本のものじゃなくちゃできないからね。全部こっちから持ってかなくちゃなんない。向こうで創りたくても数が限られるし、基本はあくまでもこっちってわけだ。

刀鍛冶をビジネスとして考える


刀鍛冶一人一人が利益を得るには、
初コスト云々より日本刀文化のファンを増やすこと

うちで作る日本刀は300万円~400万円。注文の内容によってはもっとする。1本の日本刀を作るコストってところで考えると、人件費以外のところでは原材料費、炭代、仕上げの研ぎ。そういうのだけでも、最低50~60万はかかるわけだ。それに職人の人件費や技術料、鍛錬所の維持費なんかがかかる。 日本刀ができるまでに、基本的な刀の鉄の部分を作るまでで、だいたい2~3週間、そのあと研ぎで2~3週間、鞘(さや)とか、鍔(つば)とか、柄(つか)とかを合わせるのに、また2~3週間かかる。さらに装飾を凝りたい人は、もっと時間がかかるから、やっぱり一番かかるのは鍛冶の人件費だな。注文をもらってから、待ちの時間も考えるとシンプルなものでも最低半年間~1年間。凝るものだと納品まで2年間くらいかかる。知らない人にとっては、1年間もかかって、1本400万円と言われても、ピンっとこないかも知れないけど、それだけ手間をかけて作る芸術品だから、決して高い金額だとは思わない。



刀剣業界を盛り上げて、それぞれの刀鍛冶がビジネスとして利益を出すためには、コスト云々じゃなくて、日本人の昔からある文化というか、日本刀の魅力というか、そういうことに興味を持つ人、愛好家を増やさないといけない。皮肉なことに、最近では日本人よりも、海外の人の方が興味を持つ人が多くて、「サムライ精神のお守り」だって、理解してから、来てくれる。嬉しい半面、さみしさもある。日本刀っていうのは芸術品だし、武士文化の時代から日本人にとってのお守りであり、心の拠り所であって、すごく大事なものなんだ。特に若い人に、そういうことを理解してもらうことと、日本刀に対する興味をもってもらえるような活動を、俺たちがやらなくちゃならない。