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Meister Interview 緑 健児(Midori Kenji )

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水中写真家/鍵井靖章

水中写真家
鍵井 靖章

  • 鍵井 靖章プロフィール
  • ダイジェスト版(読了時間5分)
  • 記事全文(読了時間15分)

水中写真家 鍵井 靖章


「継続」はきっと「形」になる。
若い世代に、大きな夢を持ってもらえる
仕事をする。

まず、今回の取材が実現した経緯についてお伝えしておく。 まったくもって単純な話である。 平日の昼下がり、筆者が仕事で使う写真素材を探すため、ネットサーフィンをしていたところ、訪問したサイトの中で、水中写真家「鍵井靖章」さんの作品を見つけ、そのまま、その魅力に取りつかれてしまったのだった。

思わず息を呑んでしまうほど美しい写真の数々。圧倒的な存在感。気が付くと、まるでヒーローにファンレターを出す少年のような気持ちで、鍵井さんに取材・インタビューご協力依頼のメッセージを書き始めていた。 そんな筆者の純粋な思いが天に届いたのか、鍵井さんへメッセージを送付してわずか2日後に、運命的な出来事が起こる。仕事で海外に行く機会が少ない筆者のアジア出張中に、一年の多くを海外の海で撮影しているか、もしくは日本各地での撮影や、さまざまなイベント・メディアへの出演など、とにかく移動が多く、また移動距離も長い鍵井さんと、何と偶然にもシンガポール発→羽田行の飛行機の中で居合わせたのだった。搭乗中に機内で鍵井さんを見つけた時の筆者のリアクションは、おそらく想像が付くことだろう。その場で筆者の自己紹介をし、込み上げる思いと、「運命的な出会い」について伝えたところ、その場で鍵井さんは取材・インタビューを「OK!」してくれたのだった。

インタビューをさせてもらった場所は、鍵井さんのいつもの撮影環境とは真逆と言ってもいい、東京銀座のバー。 そんな場所で、初めて鍵井さんにお会いした率直な印象は、

心身ともに健全な人。

時には危険を伴う、水中写真家という仕事だが、その魅力を本当に楽しそうに、余すところなく語ってくれた。 思えば、過去に取材をさせていただいた匠の皆さんからも、同じ印象を受けてきたことを振り返る。 そして、匠とはある意味、少年の様に“仕事に熱狂できる才能”を持つ人達であることを再認識することができた。 プランクトンからクジラまで、地上では決して会えない生物と対峙している“匠”の話。ぜひご一読いただきたい。

鍵井 靖章氏インタビュー


Q:水中写真家になったきっかっけは?

大学在学中に、のちに僕の師匠となる水中写真家:伊藤勝敏さんの写真展を見たことがきっかけです。 そこで見た写真に深く感銘を受け、そのまま弟子入りをお願いしてしまいました。それまでも趣味程度に、動物園で動物のスナップ写真を撮ったり、自然の中でお花を撮ったりしていましたが、伊藤師匠の写真は、まったくもって異次元でした。水中写真であるにも関わらず、まるで宇宙を感じさせるようなスケール。その衝撃は今でも忘れません。 それと、初めて師匠とお会いした当時、師匠はすでに50代だったにも関わらず、本当に少年のような目をしていたんです。僕が知っている大人達とは、まったく異なる魅力をそこにも感じ、「この人を信じてみよう。」と思いました。当時、僕はまだ大学在学中で、周りの友人が4年生になって、就職活動をしている中、僕は一人、プロの水中写真家を目指すことを決意しました。

Q:プロになるために必要なスキルとはどんなものですか?

高いダイビングスキル、海、生物に対する知識。
何よりも重要なのは経験!


まず、師匠に弟子入りし、アシスタントをするために、ダイビングのライセンスが必要でした。最初は水中での体のバランスが難しく、本当に下手くそで迷惑ばかりかけてしまっていましたが、師匠がロケに行く時に同行し、カメラやその他機材持ちなど、アシスタントを約2年間やらせてもらいました。まず師匠から言われたのは、「まずは、1ダイブ60分×100ダイブを経験しろ」でした。実は100ダイブは毎日やっていれば、案外すぐにできてしまうのですが、それでダイバーとして、ようやくスタートラインに立つことが出来るのだと。そして水中写真家を志すならば、最低10年間は続けることがプロ条件だ!と言われました。なるほどそういうことかと。笑

水中写真家は限られた人間にしかなれない。最近はカメラの機能と共に、写真のあり方も昔とは変わって来ているけど、プロを目指すなら、まずは高いレベルでのダイビングスキルを身につけること、そのために徹底的に経験を積むことが第一の条件だと思います。次に海について知っておくべきことが大きく2つあります。1つ目は海流。海では突然、強い海流に流され、自分の力では戻ることができない場所まで連れて行かれてしまうことがあります。危険を察知・回避するためには、それぞれの海の海流について正しい知識を持つこと。2つ目は海で生息する生物に対する知識です。被写体となる海中生物達の生態を深く知っておくことで、自ら撮影するチャンスを創り出すことができます。基礎体力ももちろん重要ですが、何よりも重要なのは、この危険回避能力と、撮影機会を自ら創りだす知識・経験です。僕は、写真家でプロになる前に、ダイビングガイドの仕事を5年間やりました。もちろん最初から水中写真家を志してはいたのですが、カメラマンでご飯を食べていくためにも、より海を深く知ることができるガイドの経験はとても役に立ったと思います。

また、撮影現場での話をすると、海での撮影には地元のガイドさんや漁師さんの協力が不可欠です。これはどんな仕事でも重要なことだと思いますが、チームワークやコミュニケーションをいつも大切にしていないと、良い写真は撮れません。だから、周囲で協力してくれる人達との関係を大切にすることはとても重要なんです。僕は海から陸に上がった時には、彼らと楽しく会話をしながら、美味しいお酒を飲む時間を大切にしていますよ。笑