top > Meister Interview > 丸々もとお/丸田あつし プロフィール

Meister Interview 夜景評論家 丸々もとお/夜景フォトグラファー 丸田あつし(Motoo Marumaru/Atsushi Maruta)

  • share this page:
  • twitter

夜景評論家 丸々もとお/夜景フォトグラファー 丸田あつし

夜景評論家
丸々もとお
夜景フォトグラファー
丸田あつし

  • 丸々もとお・丸田あつしプロフィール
  • ダイジェスト版(読了時間5分)
  • 記事全文(読了時間15分)

「夜景評論家」として独立したきっかけとは


Q:出版・編集の仕事とのダブルワークから、「夜景評論家」として独立したきっかけは?

「夜景評論家」としてのキャリア20年のうち、最初の10年間はダブルワーク。
編集の仕事は基本遅い仕事で、土日関係なく入るため、夜景の本を出す、雑誌の取材を受ける、雑誌の夜景特集の原稿を書くなどは、けっきょくのところ、昼間の仕事との二重生活で骨身を削ってやらないと成立しない。そして、東京という場所に縛られているため、魅力的な夜景がある地方や、海外にはなかなか行けないからスケール感が出せない。そんなジレンマを感じていたある夏の日、夜景の持つ可能性について今一度考えてみたんです。
夜景が持つ癒しの力とか、夜景が心地よかったり、リラックスできる理由とか、何で男性は夜景の前で女性を口説こうとするのだろうかとか、色々と疑問が出てきて、それを科学的に究明したいと思ったんです。それまでも夜景を見て口説く男性心理や、夜景とは別に色彩心理学だとか、色彩学を勉強していましたが、色彩から夜景を評論する事で、何か答えを出せないか、他の学問の知識を借りて、夜景を評論する。景観学から見る夜景、経済学から見る夜景、心理学から見る夜景、医学からみる夜景、歴史学から見る夜景・・・・、色んな発想が頭に浮かんできて、「夜景」を中心に考えられる学問を並べてみたら、およそ30にもなった。自分がやりたい30の課題に対して、一つ一つを2~3年かけてやると計算したら、「夜景」の事をやり切るのには60~90年かかる事にも気づいてしまった。で、サラリーマンをやりながら90年かかる作業をやり切るのは不可能!自分がやりたいことはこのままでは一生かけてやっても無理!と言うことに3 4.5歳の時に気づいて、これはマズイ、すぐにでも始めなきゃ!と。それが独立のきっかけです。その当時居たリクルートには、5年在籍した社員が退職する時に「起業支援金」として、1千万円の支援を受けられる制度があったため、私は在職5年1か月で退職を決めて、それを元手に起業しました。辞めた年には、水を得た魚の様に全国の夜景スポットの取材に行って、自分の生活費と取材費であっという間にお金は無くなりました(笑)。ただ、取材で色んな夜景に出会ったことで、それが夜景の携帯コンテンツの地盤作りに役立ちました。そして 少しづつ安定収入が得られ、徐々に計画したことを実行できる状況になりました。

Q:改めて「夜景評論家」「夜景フォトグラファー」の仕事について教えてください

□ 丸々もとお氏
一言で言えば、夜景を使って人を喜ばせる仕事です。独説的や自己満足などではなく、結局、人に喜んでもらって始めてこの仕事の価値が出ます。例えば、夜景を使ってイベントをやるとか、町興しをやりますとか、夜景の写真展でもなんでもそうですけど、自分が満足するためにやると言うより、それを見てより多くの人に喜んでもらうための仕事だと思っています。夜景を評論するのも、演出・プロデュースするのも、夜景が心から好きな自分が感じている感動を、どうやって伝えたら良いだろうか、またどう伝えたら一般の人に喜んで見てもらえるだろうか、感動や喜びを他者に依存する形で考えるわけです。出版社時代には「読者目線」として、そういったトレーニングを10年くらいしていた訳ですが、それが結果的に今やっていることに、結びついてきているのかと感じています。

夜景フォトグラファーとは


□ 丸田あつし氏
一言で言えば、夜景を専門に撮るカメラマンです。単純すぎますが。笑 僕はこの19年間、夜景を演出する兄と組んで、夜景の魅力や美しさを余すこと無く画に残すことに注力してきました。綺麗な夜景を撮るために重要なことは、まずそのスポットの特性をしっかりと理解することです。夜景を鑑賞する人は、当然暗くなってから展望台などを訪れますが、撮影する側からすると、それでは細かい周辺状況を理解するのは難しい。そのスポットがどんな特性を持っていて、どんな画を撮れるチャンスがあるか?などの見極めができません。一度明るい時間に訪れ、様々な可能性を探るようにしています。撮影を始めるのは基本的に夕方から。夕暮れや夜明けの時間帯は、一日の中でひときわ表情豊かに風景が変化していきます。僕はここを“夜景の入口と出口”と呼んでいますが、特にこの時間帯を大切にし、その移り変わりを刻々と撮影していくといったイメージです。

また、明るいうちからロケハンをする意味は、安全性の確保という側面もあります。特に海外での夜の撮影は、周辺の治安など、昼間に行って何となくその場の空気を感じておくことが重要です。夜になって急な気候の変化や危ない事態に巻き込まれそうになっても一度下見をしておけば、臨機応変に対応できます。
ただ単に「夜景を魅せる」ではなく、さまざまなテーマを持たせて、より「夜景」の魅力と可能性を拡げて行くことや、スムーズに撮影を進めるため、安全面での配慮をしています。

Q:写真集では「夜城」や「夜行列車」など、さまざまなテーマを展開されていますね。

□ 丸田あつし氏
国内の撮影では、車で移動する事が多いですが、その間、二人で「こんな事できないか、あんなことも楽しそう~」と雑談の中から様々なアイディアが飛び出します。夜の城を撮り始めたのは、某航空会社さんとの連載がきっかけでした。夜景を求めて日本中を旅するという企画でしたが、その中で松江城を訪れた時、深夜に到着したためライトアップが消えてしまって真っ暗だったんです。でも静まり返った闇の中で城と対峙すると、時を超えて自分たちがその城の建てられた時代にタイムスリップしたような、まわりに忍者でも現れるのではないか(笑)?そんな感覚を味わったんです。お城は大抵、昼間は大勢の人々でにぎわっていたり、夜はライトアップされたりと、すごく観光地化されていますよね。でも光が消え人影が無くなると、こんなにも想像力をかき立てる存在なのだとその時に気づいて。「夜城」は、そんな2人の体験から生まれました。

Q:“夜行列車”なんかもそんなきっかけで生まれた?

□ 丸田あつし氏
夜光列車については、車移動だと時間がかかる九州などのロケに行く時、ちょくちょく新幹線やローカル線を使うようになった事がきっかけです。車窓に現れては消えてゆく情緒的な風景を見ているうちに、夜景と電車の組み合わせも良いなと。兄は昔から色々と物を作るのが好きで、僕も彼の鉄道のジオラマ作りを手伝ったりしていました。そんな幼少時代の記憶も甦り、“夜光列車”という企画のイメージは広がりました。静寂に満ちた駅舎、薄暗い町を走る一本の光‥。そんな心に染み入る情感に溢れた世界を想像しながら、2人ともさらにその思いが強くなり「やろう!」という感じでしたね。笑