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Meister Interview 木村 清(Kiyoshi Kimura)

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株式会社 喜代村 代表取締役社長/木村 清

株式会社 喜代村 代表取締役社長
木村 清

  • 木村 清プロフィール
  • ダイジェスト版(読了時間5分)
  • 記事全文(読了時間15分)

木村清さん インタビュー


Q:売上の3割はマグロ!だれもやったことが無い独自の調達方法とは!?

私にとって「マグロ」は何よりも特別な魚です。「すしざんまいと言えばマグロ」と思ってくださるお客様もたくさんいらっしゃるように、売上の実に3割はマグロです。その期待に応えるべく、美味しく!安全で!高品質な!マグロの「安定供給」を実現できるように、すしざんまい独自の仕入れシステムを構築しています。それは、世界中にある良いマグロの漁場を持つ国の人達と力を合わせて、“いっしょに漁業を展開する”ことで実現してきました。

「海外のマグロよりも大間がいちばん」とおっしゃる方もいます。大間のマグロが美味しい!それは間違いありません。しかしながら、マグロは回遊魚で、一年間でなんと3000キロ~5000キロも泳ぐのです。そのため私は、マグロが回遊する“先”に行き、世界中から良いマグロをあつめて厳選して供給することを第一に考えています。

2014年の11月、国際自然保護連合(IUCN)は、太平洋のクロマグロを“絶滅危惧種”に引き上げました。太平洋のクロマグロの8割が日本で消費されている事実をとっても、これは非常に大きな問題です。日本でマグロ漁といえば、豪快な一本釣りが主流ですが、海外ではそんな悠長なことはしません。回遊するマグロを一網打尽にすべく、巻き網漁を行い、一度で数千尾ものマグロを獲ります。一見合理的に見えるこの方法ですが、多くのマグロが「焼け」や「身割れ」を起こしてしまうほか、出荷サイズに満たない稚魚までを獲ってしまうため、マグロの生態にも大きな影響を与えてしまいます。こうした状況を目の当たりにしてきた私は、近い将来、マグロが絶滅の危機に瀕する事を予想し、それを回避するために、マグロを「生簀」の中で生産調整する「備蓄」という方法を考えてきました。この構想を聞いた水産業者たちは、「不可能」「できっこない」と相手にもしてくれませんでしたが、負けず嫌いな私は、一人で研究し、最適な方法を試行錯誤しました。そしてついに、アイルランドの方で捕獲したマグロを最も天然に近い環境=海上に作った巨大な生簀で育て、産卵を起こさせ、また育て、生産調整をしながら出荷させる「備蓄」の仕組みを完成させたのです。この方法は、自然の力で大きく育ったマグロを生簀に入れ、産卵させて漁獲資源を増やし、自然に返しながら、出荷をコントロールできる画期的なものです。北大西洋ではクロマグロは、もはや絶滅危惧種ではありません。

Q:マグロ大王がソマリアの海賊を退治とは!?

先ほど、世界中にある良いマグロの漁場を持つ国の人達と力を合わせて、いっしょに漁業を展開しているお話をしました。最近、インターネットで、私がソマリアの海賊を撲滅した話が話題になっているようですが、このことに対する根本的な姿勢もいっしょです。
ジプチ共和国からほど近い、ソマリア沖はキハダマグロ、バチマグロの世界的な漁場ですが、1990年代に始まった内戦から、ソマリアで海賊問題が勃発し、2004年に起きたスマトラ沖の大地震で壊滅的な打撃を受けたことで、2005年頃から海賊被害がさらに拡大してしまいました。それを危惧した各国の軍隊は、ソマリアに艦艇や哨戒船を派遣して警備にあたりました。こうした活動ももちろん必要なのですが、海賊を銃で警告して退避させても、そもそも彼らが「海賊にならざるを得ない状況」を解決しなければ、また海賊に戻るだけです。海賊が出ないための防衛を自衛隊が行う一方で、民間の人達には「彼らの暮らしを創る」ことが必要なのです。そこで私たちは漁業を通して、彼らの生活を創ることを考えました。漁民たちに必要な設備が無く、また獲った魚を売る先が無い状況が把握できたため、ジプチ共和国の政府と漁業分野の合意書を交わし、漁民達に必要な船や設備を提供し、漁業指導を行い、三年間を掛けて、現地の人達に魚を獲ってもらって、それを私たちが買うための仕組みを創ってきました。そうした努力の甲斐もあって、「海賊なんかするよりも、そちらの方が良い」という人が増えてきました。今はまだ採算が取れる水準ではありませんが、将来的にはきちんと利益が出る目算は立っています。これが「ソマリア海賊退治」の実態です。おかげさまで、これまでの活動を認めていただいて、ジプチ政府からは2013年に勲章をいただきました。これは、私の宝物です。

今後の展望について


Q:ホンモノの寿司文化を世界に!

2013年の12月、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。とても嬉しく思うと同時に、和食に携わる人間として、大きな責任を感じています。世界の人にとって、和食とは魚、とくに生魚とご飯を意味しています。寿司についても「SUSHI」として完全に定着しているため、それを誇りに思うのは良いのですが、その反面本物の日本食を知らない人がまがい物の日本食を食べて喜んだり、なんちゃって寿司を出してしまう現状もあります。世界の注目を集める様になった今だからこそ、今一度謙虚に見直す時期に差し掛かっていると思います。
そこで何よりも重要なのが、人材育成です。2006年に開校した寿司職人養成学校「喜代村塾」もその一環で、それまで、「寿司屋での修行は十年」と言われてきた修行期間を二年間に集中し、寿司職人を育て上げる教育カリキュラムを組んでいます。もちろん、修了した時点では「カウンターにたてます」と言ったレベルで、一流の寿司職人として成長するためには、それからの本人の努力次第です。これまで400人以上を送り出し、国内・海外にも人材を輩出しています。社員以外も受講を可能にし、とても採算は合いませんが、寿司業界を盛り上げるため、これからも続けて行きます!今後、「喜代村塾」は海外にも作りたいと考えています。



マグロの調達だけでなく、世界の各国々で人材も育成し、現地で雇用を生み、現地の方に経営の仕方も学んでもらい、フランチャイズで店舗展開をする。私たちにゴールは無く、お客様からのニーズがある限り、その期待に応え続けます。

メッセージ


Q:最後にこれから様々な業界で活躍する次世代に一言

人は「人の喜び」によって生かされています。人を幸せにすることに大きな喜びとやり甲斐を感じて、どうか大きく成長してください!「なんのために生きるのか」「なんのために働くのか」、それを自分自身で考え、意識が明確な人は必ず大きく成長を遂げると思っています。私は男性・女性関係なく、「一生懸命に頑張る人間」に期待しています。そういう人の努力が報われるような社会であることを願っています!



<記者:HIDE>