ジャパンキャビア株式会社 代表取締役社長 
坂元基雄(後編)/キャビアを「飾る」から「食べる」文化に!

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キャビアを「飾る」から「食べる」文化に!
品質で世界と戦う国産キャビア

2013年に誕生した国産キャビア「宮崎キャビア1983」は、高品質な熟成キャビアとして、輸入物が大半を占める国内市場において急成長を遂げている。ジャパンキャビア株式会社の代表、坂元基雄さんは世界に誇れる熟成キャビアを作るとともに、その美味しさを広く発信することにも力を注いでいる。

インタビュー後編では、「キャビアを『食べる』文化を作りたい」と語る坂元さんに、熟成ならではのキャビアの美味しさや、料理に“添える”だけではないキャビアの食べ方など、国産キャビアの魅力を存分に語っていただいた。

Q:チョウザメから卵を出した後、キャビアはどのように加工されるのでしょうか?

腹から出した卵を塩漬けしていきますが、もともとのキャビアは、ほとんど味がしません。しかも塩に漬けないと中身が出て行ってしまうので、塩には味付けだけでなくコーティングする役割もあります。温度帯と湿度を管理しながら、一番長いものだと6カ月ほど熟成させていきます。

私たちが最初に作っていたのは、塩漬けをしたフレッシュ感のあるキャビアでした。ところが本当にキャビアを知っている海外のシェフたちにそれを食べてもらったら「これはキャビアじゃない」と言われて大きなショックを受けました。その時に初めて、“キャビアは熟成する”ということを教えてもらったんです。

Q:熟成させると全く味が変わるんですね。

熟成させてないキャビアも美味しいです。ただ、好みがありますし料理人によっては使い分けたりしますが、熟成キャビアを知ると物足りなくなってきます。熟成させると、旨味が3~4倍にもアップするからです。また、漬ける前と漬けた後、さらに寝かせた後では色つやが違います。熟成すると輝いてくるんですよ

熟成させる過程が、最も技術が求められるポイントです。魚卵を普通に冷蔵庫に入れておくと1週間ほどで腐ってしまいます。ジャパンキャビアの加工場がなぜクリーンルームになっているかというと、卵は寝かせていくと菌が増えてしまうので、最初から菌を付けずに加工すればいい、という発想です。一般生菌数を評価する食品検査に出すと、6カ月熟成させたキャビアでも「300個未満」という数字が出ます。例えば生牡蠣でしたら一般生菌が5万個までなら生食できますので、300個未満という値は食品業界の人にお話しするとみなさん驚きますよ。

Q:こんな風にキャビアを味わっていただきたいという食べ方はありますか?

食べ方も色々と研究していますが、一番美味しいのは「そのままパクッ!」です。それと自分の好きなお酒に合わせるのが間違いなく美味しい。あとはシンプルな料理ですね。キャビアを塩の代わりにじゃがバターにのせたり、甘えびやウニにのせたりとか。

意外とわさびとの相性がいいんですよ。わさび醤油ではなく、わさびだけをキャビアにちょっとつけて食べたりとか。食べる時は、食感が口に残るくらいの量を一気に食べるのがオススメです。最近は、和食の料理店にかなり使っていただけるようになっています。

いままで食べたキャビア料理のなかでも驚いたのが、「キャビアのせ卵ご飯」です。ご飯が少しだけ盛ってあって、天ぷらにした卵黄の上にキャビアがどっさりのせてあるものでした。濃厚な黄身と、キャビアの旨味と塩加減で食べる卵ご飯。これは一度食べたら忘れられないほど美味しかったですね。

卵は熱を通すと濃厚になって美味しいですから、家庭で作るのであれば、天ぷらでなくても温泉卵の黄身を使えば簡単にできます。「宮崎キャビア1983」は本格的に熟成しているので旨味があって、そういったシンプルな料理に合うんですよ。

キャビアが取れるようになってからはそちらの注目度が高くなりましたが、魚肉もかなり普及してきました。やはり日本人は生食を好みますが、チョウザメも1週間くらいは刺身として食べられます。非常に日持ちがしますし、カルパッチョなどには持って来い!です。歯ごたえもあって美味しいですし、火を通すとチキンのような食感にもなるので、もっと認知させたいですね。

あと、試食などをする時に試していただきたいのですが、キャビアのテイスティングにはやり方があります。まず、キャビアをすくって手の甲に載せてください。そして色つやを見て、香りを嗅いでから食べるんです。味わいながら、鼻からふーっと息を吐くと香りが立ってきます。そのあとは手の甲をこすり合わせて香りを嗅ぐんです。品質の悪いものだと、この時にイヤな匂いがします。良いキャビアだと全く匂いがしません。これがキャビアのテイスティング方法なんです。

Q:伊勢志摩サミットで「宮崎キャビア1983」が各国首脳に提供された反響は?

使っていただけるよう事前に提案はしていましたが、地域の食材を使うと言われていたので諦めていたんです。ところが開催の約1週間前に「キャビアを使わせて欲しい!」という連絡を受け急遽準備をしました。海外の要人には刺身が苦手な方がいらっしゃいますが、鯛にキャビアをのせることで、和食でありながら洋食のような料理を作りたいというシェフの希望でした。

そこで一気にブランド力がつきました。サミットで採用されたことと、国際線のファーストクラスで使われているという2点は、どこにいっても評価していただけます。最近は色々な有名レストランでも使われるようになってきましたが、料理のメニューに「キャビア添え」とだけ書かれていたのが、「宮崎キャビア1983添え」と名前まで書いてもらえるようになりました。まだまだですが少しは浸透してきたのかなと思っています。

Q:順調に成長しているなか、国内のキャビア市場はいかがですか?

キャビアの消費量は景気に左右されるものです。日本が一番キャビアを輸入していたのはバブル期で、ワシントン条約の規制で輸入できなかった時期に減りましたが、近年また伸びてきました。「宮崎キャビア1983 」がサミットを機にメディア露出したことで、他の地域も町興しのために養殖を始め、国内だけでも産地は12、13カ所ほどに増えています。

中国が近年、半端ではない量のキャビアを作っています。日本全体で10トン消費しているかどうかというなか、一つの養殖業者だけで年間60トンくらい生産しています。しかもそのような業者がいくつもあって、値段が安い。私たちはそういうキャビアと国産キャビアの違いをはっきり打ち出して、戦っていかなくてはいけません。

Q:最後に、今後の展望をお聞かせ下さい

私がずっと掲げ続けているのは、「キャビアを食べる文化」を作ろうという目標です。日本人はキャビアを「食べる」という感覚ではなくて、キャビアを「飾る」という感覚なんですよ。金箔を料理に添えるイメージに近いかもしれません。クリスマスディナーにちょっとキャビアを乗せるとワンランク上になるとか、結婚式の時にちょっと乗せるとか。まだまだ先になるかもしれませんが、そのようなイメージを超えて、「美味しいキャビアを味わう!」という食文化を作りたいと思っています。

"日本の匠に尊敬と感謝の思いを込めて" - Grateful JAPAN

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