タビオ株式会社 代表取締役社長
越智 勝寛(後編)

0Like&Share

Facebook

LINEで送る

「「日本人男性の足元を変える!」新しい挑戦
ネットショップでも靴下業界の最先端へ!

レディースソックスを中心に全国展開する「靴下屋」など、さまざまな靴下ブランドを展開する「株式会社タビオ」。靴下の履き心地と品質へのこだわりから、職人たちの高い技術力に裏打ちされた“メイドインジャパン”を軸に、多彩なデザインと品揃えで、靴下業界を牽引する存在となっている。二代目の越智勝寛社長は、レディースに比べてまだまだ意識の低い“メンズソックス”の強化や海外での店舗展開、アメリカ専用のネットショップ展開など、新しい領域への挑戦に積極的だ。

インタビュー後編は、意外に知られていない日本と海外の靴下文化の違いや、国内の靴下市場について、さらにネットショップとリアル店舗をつなぐ新しい取り組みなど、今後の展望について語っていただいた。

→越智勝寛(前編)を見る

越智 勝寛さん インタビュー


Q:国内と海外で、女性の靴下の好みはどのような違いがありますか?

実は世界に目を向けると、日本のように女性がいろいろな靴下を履く国はまだまだ少ないんです。基本的に、靴下は年配の方くらいしか履きません。日本に住んでいるとわかりづらいですが、我々を含め、90年代に靴下専門店を展開した会社が日本独自の文化を作ったという面があります。海外はというと、オフィスはストッキングで、プライベートはストッキングも履かず素足という人が多いです。欧米や南米は基本的にスタイリッシュでエレガントに見えるような服を、日本人は可愛く見えるような服を好む傾向があります。それも影響してか、日本独自の「レディース・カジュアル・ソックス」の市場が存在しているという状況です。

文化的な違いがあるので、パリやロンドンの店舗は、現地にずっと住んでいる者を雇用しています。ロンドンに1店舗目を出した時は、坪数の大きな店舗にフルラインナップを用意しましたが、全くうまくいきませんでした。その教訓を生かして取り入れているのが、現地のスタッフが通用すると思った靴下を選んで陳列するというスタイルです。日本人が日本で考えたことをやっても売れないと判断し、客層に合わせて自由にやってもらっています。お客さまは女性が多く、はじめは「これをどうやって履くの?」と驚かれましたが、「あなたの履いているデニムにボーダーの多色の靴下を合わせたらすごくクールだよ」といった提案をすることで、これまでになかった面白い専門店として認知されました。かなり“尖った”店として評価されたことで、まだSNSもない頃でしたが意識の高い著名人が履いてくれて口コミが広がりましたし、有名ブランドからタイツや靴下の注文を受けることもあります。

Q:日本人男性の靴下に対する価値観はいかがでしょうか?

女性に比べると極めて意識は低いですが、これから伸びる可能性が高いと思っています。他の業界に目を向けると、「ポーター」が出てこなければ、露天で売っているような黒いカバンでいいと思っていた人が今でも多かったかもしれないし、「鎌倉シャツ」がなかったらスーパーのYシャツでいいと思っていたかもしれない。これ以上は市場がないと思われた業界に新規参入した企業が頑張ったから、価値観が変わりました。「スターバックス」もそうです。日本では後発でありながらコーヒーの文化を持ち込んで、いまではスターバックスが入っているかどうかでその施設の印象が変わるくらいになっていますよね。

その点で靴下業界は甘えてしまっていて、「百貨店の1コーナーでいいや」とか、「男性はどうせ靴下に興味ないから高いものは買ってもらえないでしょう!」という考えでした。それは露天商のカバンのままでいいと言っているのと同じです。雑誌のメンズアイテム特集を見ても、帽子、眼鏡、スーツ、シャツ、ネクタイ、下着、腕時計、鞄、ハンカチ、いろいろあるけれども、その中にまだ「靴下」が入っていない、ということもあります。ですが私はそんな靴下業界の現状をブルーオーシャンとして捉えています。メンズソックスの市場は、誰もが知っているブランドがない状態だからです。この先、男性の意識をどう変えていくか、そこに我々が一石を投じたいと思っています。

Q:「品質」と「ファッション性」、どちらを重視していますか?

これは我々の誇りや自信につながっているのですが、ファッション性と品質の両方を備えることで、全国のお客さまに受け入れられています。例えば年配の方が多く訪れる店舗では、「トレンド的に来てるよね!」という視点ではなく、主に品質を見られています。安くて2、3回洗濯したら肌触りが悪くなる靴下ではなく、1足800円~1,000円で買って、1年以上履いてもらうような使い方が、全国的に支持を受けています。

一方で、都心の感度の高い店舗では、ファッション性が重視されます。いい服や靴を買ったら、靴下もそれに合ったデザインを選んで、そこで独自のファッションが完成する、という楽しみ方をしていただける。そんな店舗で「メイドインジャパンの品質」とか「職人さんが作っている」とアピールしても、お客さまには響かないでしょう。品質とファッション性、それぞれの特長をうまく生かすことで、どのロケーションでも支持されているのが強みです。

Q:タビオの今後の展望を教えてください。

現在はレディースの売上が8割を超えていますが、今後メンズを本格的に強化するため、3年計画を組んでいます。男性の足元の文化自体を変えることへのチャレンジです。そのために、もともと日本に成熟した市場が存在していた各業界に、新規で参入した靴や鞄などの企業について、研究を進めています。

ネットショップでの購入が日常化している中、リアル店舗の有り方も考え直しています。インターネットに力を入れるからリアル店舗はやめるということではなく、非常に便利な立地に出展する、新型小型店舗を開発中です。自宅に配送するサービスだけですと、ネットショップで購入して時間指定をしても、その時間は家を出られないといったデメリットもあります。そこで、店舗を取り置き場とする無料サービスを導入したところ非常に好評でした。しかもインターネット決済ではなく店頭でレジを通すようにしました。

インターネットを強化する際に、企業によっては、本社の売上が伸びれば店頭は減っていいという考え方もあると思います。ですが、私たちとしては店頭の販売者のモチベーションにも繋がって欲しいですし、実際、積極的に取り組んでくれています。また、この販売形態だと、テナントの規模もさほど必要ありません。そのため、これまで出店できなかった利便性の高い土地、例えば乗り換え利用者が多い駅構内にも出店できるようになり、お客さまが受け取りやすい環境を整えることができます。

また、一昨年10月にはネットショップでアメリカに進出しました。ヨーロッパはマーケットに合わせてリアル店舗を出しましたが、アメリカはネットの最先端を行っているので、そこで勝負して認知度を上げていきます。今後、日本のネット社会がどう変わっていくとしても、今のアメリカを押さえておくことは重要です。

「靴下屋」のリアル店舗はさまざまな商業施設に出させていただき、多くの女性がご存知かもしれませんが、ネット社会への適応はこれからです。リアル店舗にこだわりすぎてインターネットで二番煎じになってしまったら、この先20年は2番手のままになってしまいます。ですから、アメリカで修行を積んで、国内でもネットショップの最先端を行きたい。「インターネットで靴下と言えばタビオ」と思い浮かべてもらえる存在になりたいと考えています。

<記者:平澤 尚威>

"日本の匠に尊敬と感謝の思いを込めて" - Grateful JAPAN

フォローしてSNSで最新情報をチェック >>

Facebook

LINEで送る