ユーコーコミュニティー株式会社・代表取締役社長
阿部 真紀(後編)/アートで魅力発信「塗装はエンターテイメント!」

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塗装はエンターテイメント!
「アート塗装」やインスタ作品で魅力を発信

外壁塗装の「ユーコーコミュニティー株式会社」は、男性が大半を占める塗装職人の世界で、“半数以上が女性”という常識を覆す会社づくりを実現している。それを可能にしたのは、塗装への固定概念を取り払い、「色を扱う」「塗る」という仕事の魅力を伝えようという発想の転換だった。

ユーコーコミュニティーは塗装の新しい可能性を追求するなかで、外壁に絵を描く「アート塗装」や、美大卒の社員たちの才能を生かしてユニークな作品を投稿するInstagramアカウントなど、これまでになかったサービスを展開し、塗装の魅力発信に注力している。

「塗装はエンターテイメント」と声を弾ませる阿部真紀社長へのインタビュー後編は、“働きがい”のある仕事を創出するための取り組みや、ただのメンテナンスに留まらないアート塗装の魅力について語っていただきました。

→阿部 真紀(前編)を見る

阿部 真紀さん インタビュー


Q:女性社員が増えるなか、女性の働きやすい環境は実現できていますか?

これはまだ発展途上で、働きやすさより、いまは働きがいを感じてもらえる環境と仕事を作っていく必要がある段階だと感じていますし、それが働きやすさにつながると考えています。近年は動画作品などを掲載するInstagramに取り組んでいて、そこは美大卒の社員たちの才能が最大限に発揮されている場です。約1.9万人のフォロワー数がいて、1作品あたり3000~4000のいいねがつくほどのアカウントになっています。

また、ユーコーコミュニティーのウェブサイト上で人気のあるページの一つが、産休・育休中の女性社員が描いた「美大・芸大就職物語」という就職活動の体験記です。彼女も美大卒で、社内結婚を経て子供を育てている最中ですが、漫画を交えて自分の就活の思い出を在宅で描いてくれています。

このページやInstagramを見てユーコーコミュニティーを知ってくれる美大生もたくさんいるんです。こういう仕事も働きがいにつながりますし、その人ならではのメッセージを発信できる手段になっていると思っています。このように、社員の生活や個性に合わせて、強みを発揮できる仕事を見つけてあげたいと思っています。

Q:阿部社長がブログで情報発信されているほか、会社としてメディアも運営されていますよね

ユーコーナビ」という外壁塗装に特化したオウンドメディアで、私もメンバーの1人として一部の記事を執筆しています。ユーコーナビも女性だけの運営チームで、記事を書く仕事になるので、場所を選びません。なかには3歳のお子さんをもちながら働くママさんとして在宅で記事を執筆しているメンバーがいます。ライフステージの変化は女性の方が多く、若い社員は結婚や出産、もしくはご主人の転勤などがあれば、もしかしたら仕事を辞めざるを得ないという状況になるかもしれません。そんな時に、培った能力がリセットされてしまうのは本人にも会社にとってももったいないので、ユーコーナビは彼女たちの能力が発揮し続けられる取り組みになっていくでしょうし、働き方改革の1つの成功例を提示したいと考えています。

Q:組織づくりにおいて気を付けていることは?

意識していることが3つあります。1つ目は「責任者を決めること」です。みんなでがんばろうという雰囲気を作ることも大事ですが、誰が意志をもって実行しているのかが明確でないと、何か困難が起きた時に失敗してしまいます。

そして「責任者ではないメンバーも当事者意識をもつこと」も重要だと考えています。誰かに言われたからではなく、自分がこれをやらなければという感覚をもてるチーム、組織づくりが重要です。そのために、少数精鋭で代替が効かない状況を作り、責任感を持てるよう促しています。

3つ目が「プロジェクト形式の仕事にすること」。部署ごとではなくプロジェクト・事業ごとに集まり、それが終わったら解散するような形式が重要です。その際には地道な作業がコツコツできる人だったり、コミュニケーションがしっかりできる人、気配りができる人という風に、色々な能力を持った人材を集めることでチームを強くできると考えています。社員たちにはプロジェクトの発案者になるか、プロジェクトに呼ばれる人材に育って欲しいですね。

また、私個人としてもプロジェクトに入ってメンバーとして一緒に動くということを意識しています。指示を出して任せるばかりだと、時代の移り変わるスピードが速くなっていくなかで、現場のことがわからなくなってしまう。リーダーであっても「横並び」という意識は重要だと思っています。

それから、社員の本人すら、気づいていない能力が開花する姿を見るとやりがいを感じますね。そのためには社員のことをよく見ていることが大切ですし、意識しているのは社員たちの“小さな良いところ”を見つけることです。誰もが見てもわかる素晴らしい所ではなく、見つけにくい長所を伝えられるように心がけています。

Q:アート塗装はいつから始まったサービスですか?

アート塗装は、創業当時にはなかったサービスです。美大生が入社するようになった以降のことで、自宅全体に絵を描いていいと言ってくださったお客さまが最初の事例でした。さすがに家全体というのは珍しくて、戸建てですと周辺の家にも配慮してワンポイントで入れていただくことが多いですね。大掛かりな塗装としては、パン屋さんだったら外観を目立たせ集客に繋げたいという依頼をお受けしたり、幼稚園では子供たちが笑顔になるような絵にしたいというご要望を受けて思い切ったデザインで描いたりしています。

デザインを決めるうえではお客さまからご希望を伺っていきますが、そもそもお客さまはアート塗装のことを知りません。まずは、私たちは外壁に絵を描けるんですよという事例をご紹介して、その流れで「ワンポイントでいれてみようか」となることがほとんどです。

ワンポイントでもアート塗装を取り入れると、お客さまの家の“表情”が変わりますし、その時の思い出を残すなどいろいろな意味をもたせることができます。店舗では集客が目的、幼稚園なら人を笑顔にしたり街づくりになったりと、単純にメンテナンスという括りだった塗装が、アートだと再定義することでいままでリーチできなかった方々にも届けられるようになりました。

美大卒の社員たちにとって、学生時代は作品を作って評価を受けることがメインでしたが、お客さまのお家という作品を作るいまの仕事では、評価ももちろん受けますが「ありがとう」と言ってもらえることがものすごく大きな喜びになっています。街並みに自分の作品が残り、それによって喜んでくれる人がいて感謝されることは、彼女たちの入社前には想像できなかったやりがいになっているそうです。

Q:現在注力している取り組みは?

私たちは「塗装はエンターテイメントだ」と考えていて、塗装をもっと多くの人に知っていただこうと発信しています。見ていて楽しめるInstagram作品のように、強化していきたいのは塗装のエンターテイメントとしての側面です。これまでにも、自社の研修センターで子供たちが壁一面を塗り放題で落書きできるイベントを開いたり、ボディペイントを楽しめるような塗装のエンターテイメントを提供しています。4月末にはショッピングモールで「みんなで完成させる塗り絵」という巨大な塗り絵やスライムづくりなどのワークショップを楽しんでもらえるイベントを実施しました。

ほかにも研修センターを「塗装はエンターテイメント」という考え方の象徴と言える、テーマパークにする計画を進めています。そのために現在、在宅の社員が「AR」(拡張現実=現実の風景に情報を重ねて表示する技術)に挑戦中です。塗装でどうしてARなんだと思われるかもしれませんが、塗装をエンターテイメントとして表現するために、ただ作品を展示して終わりではなく、双方向性があって楽しめる場所にしようと考えています。

Q:会社だけでなく業界全体も女性が働きやすくしていきたいという想いがありますか?

塗装を単純にメンテナンスとして捉えるだけではなく、前提を疑ったり再定義したりすることは、女性が増えるきっかけになります。私たち自身がアートのイベントを開いて、Instagramなどを通じて発信することで、「面白そうな会社に入ったら塗装の会社だった」と思われるようにしていきたいです。

塗装にはお客さまのお家をしっかりメンテナンスするという大切な役割がありますが、それだけではなくアートでありエンターテイメントであり、ワクワクしてドキドキするエンターテイメント的な面もあるということを、誰も見たことのない形で伝えていきたいと思っています。

<記者:平澤 尚威>

"日本の匠に尊敬と感謝の思いを込めて" - Grateful JAPAN

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