株式会社ペッパーフードサービス 代表取締役社長
一瀬 邦夫(後編)/日本で一番働きたい会社を目指す!

0Like&Share

Facebook

LINEで送る

日本で一番働きたい会社を目指す!
「従業員の幸せを考えることが、自分の幸せ」

肉料理メインの外食チェーンを運営する「株式会社ペッパーフードサービス」は、一瀬邦夫社長が開業した小さな洋食屋から始まり、「ペッパーランチ」「いきなり!ステーキ」などの人気店を全国に展開してきた。シェフとしての修行時代から肉に多大な情熱を注いできた一瀬社長が、「自分が行きたい店かどうか」と自問自答しながら作り上げてきたステーキ店は、新しい「肉」の文化を日本にもたらしている。

インタビュー後編は、同社の主力である「ペッパーランチ」「いきなり!ステーキ」を成功に導いた一瀬社長の戦略や、「日本で一番働きたい会社にする」という目標とともに願う“従業員の幸せ”について語っていただいた。

一瀬 邦夫さん インタビュー


――「ペッパーランチ」や「いきなり!ステーキ」は社長ご自身の夢を形にしたようなお店ですね。

「キッチンくに」の時のように社員を一人ひとり育てながら多店舗化していっても、盤石な会社になるのに何年かかるかわからないので、フランチャイズ展開できる店を作らなければと思い、入念にマニュアルを作成して「ペッパーランチ」を作り上げました。誰に、何を、どれくらいの値段で売ったらいいかと考えた時に、若者だったら1週間に3回も4回も肉を食べたいに違いない。その回数を食べられる価格は600~650円だろうと具体的に決めていきました。その価格でそれだけの肉を食べられる店はありませんでしたから、私が「肉」の価格破壊をしてきた張本人ですよ。

――前例のないことを実現したわけですね。

オープンにあたってはコンサルトの方々は大反対でしたよ。「そんなことをやった人誰もいないから」と言われました。私は「ないからこそやるべきじゃないか」と言葉には出さず思っていましたけれど。

――結果的には大成功を収めました。

神奈川県の大船にオープンした「ペッパーランチ」の1号店はご夫婦が経営するフランチャイズで、私と3人で立ち上げました。それが51歳の時です。当日は私がコック服で現場に立って料理を作り、奥さんが料理を運んでカウンターに出す。旦那さんは洗い物をする係でした。

このオープン初日に、500人ものお客さまが来店したのです。500人前を作ったことに自分でもびっくりしましたよ。あまりにうれしくて、タクシーの運転手さんに「こんなに忙しかった」「すごいことをやったんだ」と話しながら帰りました。

まず1店でも出してみれば何をすべきか、だいたいはわかってくるものです。レストランでも居酒屋でも、どんどんメニューを増やしたり、流行った料理を取り入れたりして色々なニーズに応えようとするけれども、結局は何の店かわからなくなりうまくいかないということがよくあります。そこで「いきなり!ステーキ」の場合は、メニューは美味しいステーキをメインとした1品でいいと決めました。赤坂の「ステーキくに」という店で、1グラム10円でステーキを出していましたが、ここで300グラム食べたら3000円になりますよね。今度は思い切ってその半額、1グラム5円にしてみようと考えました。起爆剤的に1年に1回くらい半額キャンペーンを実施することはありましたが、「いきなり!ステーキ」は“エブリデイ・ロープライス”です。

――「安くしすぎた」と思うことはありませんでしたか?

半額だと、原価率が7割ですからね。さすがに7割だとやっていけないとはじめは思いましたが、ビールにワイン、サラダ、色々なものを召し上がってもらえたら1人3000円は使ってくれるのではないかと。そのかわり1人1時間は滞在するだろうと計算していきました。実際にオープンしてみると、1人2000円しか使わないけれど、30分で帰る人が多いとわかりました。ということは1席につき1時間あたり4000円使ってもらえるので、これならいけるだろうと考えたのです。お酒を飲まない人でも、そういった方は来店の頻度が高いという傾向があるので問題ありません。

銀座の1号店は20坪で家賃が150万円でした。家賃比率が10%なら健全だといわれるので、1500万円の売上を立てないといけません。1日100~120万円の売上が出るようになったので、家賃比率は5%程度で、利益が出る状態をずっと続けてこられました。苦しい時代もあったけれど、よく従業員が1000人もいる大きな会社になったなと思います。

――現場のスタッフの方々も含めるとその何倍もいらっしゃるわけですが、飲食店が採用に苦労している状況で人材を確保し、なおかつ辞めていかない理由は?

“日本で一番、社長と近い会社”だからだと思います。それに加えて、「日本で一番働きたい会社にする」「従業員により多くの給料を払う会社になりたい」と宣言しているからでしょうか。私が全員面接して波長の合う人たちに入ってもらっているので、社員同士が仲良くしていますし職場が明るいですよ。

「従業員の幸せを考えることで、自分が幸せでいられる」というのが私の持論です。それは間違いありません。昨年から、安倍首相が3%の賃上げを要請していましたが、我々は実質6%以上の賃上げをしましたし、今年もそうしたいと考えています。ただ上げると言うだけではなく、実現することで従業員からの信用もついてきます。日本経済はいかに給料を抑えるかという課題に長年取り組んできましたが、私はいかに給料を上げるかに賭けています。給料が上がればたくさん使える。使えば回り回って我々にも入ってくる。そうすることで経済が循環して、よりよい社会になっていくと思っています。

――現在抱えている課題は?

「いきなり!ステーキ」は5年半かけて450以上の店舗を出してきました。他の会社の10年、15年分を短い期間で実行したことになります。それによって課題も早く見えてきました。47都道府県に出店し、近所に出店するケースも増えたことで、当然カニバリ(自社競合)が発生してきましたので、どうやってそれを避けるかが現在の課題です。

2018年は202店舗を出店して、今年は210店という目標を掲げていましたが、大事なのは店舗を増やすよりも、各店舗が繁盛し従業員が安定的に働けて、将来が見える会社にすることです。そのために必要なことを理詰めで解いていくと、間違いなく最後は料理の質であり、おもてなしであり、お店をキレイにすることに行き当たるわけです。それを徹底していけば間違いなくお客さまから支持される店になっていきます。

――お店に行くと、店舗のスタッフがこちらの様子をよく見てくれているなという印象があります。

クレームを減らそうと努力してきた結果だと思います。店内に「クレーム撲滅」なんて張り紙があるんです。そんな言葉を張り出す社長なんていませんし、お客さまの受け取り方もさまざまでしょう。ですが、クレームに対して真摯に取り組んでいるんだと感じていただけたらと思っています。

――今後、力を入れていく新しい取り組みはありますか?

銀座と日比谷の「いきなり!ステーキ」で、オイスターを出す業態をスタートさせました。一般的なオイスターバーに行ったら、5000~6000円くらいになりますが、うちならオイスターを3~5個食べてもらって、白ワインを合わせても2000~3000円ほどです。

オイスターとステーキは相性が良くて、海外の高級なステーキ屋などではよくオイスターが出されています。ですが、日本のオイスターバーにステーキはないですよね。ここが狙いなんです。「いきなり!ステーキ」は安くてすぐに帰る方が多いけれど、お客さまがたくさんいらっしゃいます。オイスターを少し食べて、白ワインを1杯飲んで、最後にステーキ、という食べ方を楽しんでもらえるのです。今度はオイスターを前面に出して、前菜のようにオイスターを食べて、ステーキと一緒にガーリックブレッドやライスを食べてもらうような店を出したいと考えています。

「いきなり!ステーキ」をオープンした当初は“非常識”と評価されたことがありましたが、それは立ち食いやグラムあたり何円といった価格設定のように、誰もやったことがないことを始めたからです。誰かのまねをするのではなく、これからも肉、ステーキとともに新しい挑戦を続けていきます。

<記者:平澤 尚威>

"日本の匠に尊敬と感謝の思いを込めて" - Grateful JAPAN

フォローしてSNSで最新情報をチェック >>

Facebook

LINEで送る